沈み込み帯を介した物質循環

プレート沈み込みによるマントルへのホウ素輸送:電気石は深さ150kmまで


 地球の化学進化に寄与してきた、プレート沈み込みによるマントルへの物質輸送を解明するためには、沈み込む地殻物質に濃集していて、流体が関与する過程での移動性が高い軽元素の挙動を調べる必要がある。そのような特性を備えたホウ素は、大陸地殻を構成する岩石中に電気石として含まれているが、天然の多成分系における電気石の安定条件は決定されていなかった。我々の実験結果によれば,石英に飽和した地殻組成の系において、電気石の安定領域は800℃以下および4-4.5GPa以下の条件に限られ、電気石の分解によって放出されたホウ素の一部は、白雲母に受け渡される。したがって、電気石として固定された地殻物質中のホウ素は、プレート沈み込みによって150kmの深度まで移送されうるが、より深部まで沈み込んだ地殻物質中のホウ素分配や同位体分別に関しては、白雲母が重要な役割を果たしていると考えられる。(26 Nov., 2007)

    Ota, T., Kobayashi ,K., Katsura, T., Nakamura, E., Tourmaline breakdown in a pelitic system: implecations for boron cycling through subduction zones, Contrib. Mineral. Petrol., 155, 19 – 32, 2008.