SEM(Scanning Electron Microscope:走査電子顕微鏡)
とEDX(Energy DispersiveX-ray spectrometer:エネルギー分散形X線分析装置)
我々の用いるSEM(日立S-3100H)には,EDX(堀場EMAX-7000)が附設しています.試料に電子線を照射することによって2次電子と反射電子,特性X線が発生します.SEMでは,2次電子と反射電子を検出して2次電子像(凹凸像)と反射電子像(組成像)を得,試料表面の状態や組成の違いなどの観察を行います.一方,特性X線はEDXの検出器で検出されます.EMAX-7000は原子番号5のホウ素から92のウランまでの分析が可能とされていますが,実際には主要元素(Si,Al,Mg,Fe,Ca,Naなど)の分析に用いています.
SEM-EDXの利点は,EPMAなどとは異なり,扱いの簡便性にあります.試料交換時には試料室全体が開放されるため,試料の大きさ・形状・個数も任意にとれ,出し入れや操作も単純です.またEPMAと比べると精度が劣る反面,?@標準試料に頼らず分析が可能である,?A検出器は分光光学系ではなく,半導体のエネルギー分解能を利用するため,測定時間が分析元素数に依存しない,?B?A同様の理由で測定後,分析元素の変更が可能である,?C面分析(マッピング)も範囲・元素数に依存せず短時間で行える,などの点で優れています.
我々のSEM-EDXの特徴
通常SEMは試料交換時に大気開放しますが,我々のSEMは試料室内に窒素を導入します.これは,?@EDX検出器先端部分の保護,?A試料と試料室内の汚染を防ぐ,?B電子銃部分まで開放されるため,フィラメントの酸化を防止する,といった利点があります.さらに最大の特徴は,SEM-EDXとSIMS,光学顕微鏡の空間座標系の共有を可能にした点です(L-MIS).L-MIS 導入によって,SEM-EDX で記載・主要元素分析を行うことが,SIMSでの分析の有効性を高め,且つ,SIMSでの分析によってSEM-EDXでのデータが活かされることになるのです.
試料準備室
SEM-EDXおよびSIMSで用いるビーム分析用試料の研磨や試料薄片の作成は,SEM-EDX室に隣接した試料準備室で行います.樹脂による試料のマウントを行うための恒温槽,2台の研磨機が設置され,試料を効率良く準備することができます.試料の研磨・洗浄には,汚染を極力排すためにイオン交換水を使用します.イオン交換水の天井内の配管や室内のタンク ・コックの設置は,メンバーでアイデアを出し合い行われました.また,SEM-EDX試料用の炭素蒸着装置もこの部屋に設置されており,非常に短時間で蒸着が完了します.そして,できたてほやほや(!?)の試料を即,隣室の装置で分析…となるわけです.(Cz)